なぜ日本は石炭をやめなければならないのか

大気汚染や気候変動との闘いは世界中でますます緊迫したものとなっている中で、日本が石炭火力発電への支援を続けていることは、地球と人々の未来にとって大きな脅威となっています。

私たちは、日本がエネルギー源としての石炭火力への支援をやめ、その大きな資金力を世界の再生可能エネルギーへの転換に活用するよう、ともに取り組んでいかなければなりません。

日本政府は2020年10月、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を打ち出しました。米国では環境政策に前向きなバイデン政権が誕生し、パリ協定への復帰を果たしています。世界で「脱炭素」への関心が高まり、「脱石炭」が大きなうねりとなっているにもかかわらず、日本の公的金融機関であるJBIC、NEXI、およびJICAは国外の石炭火力発電事業に関与し(2019年の集計数は36件)、国内でも新規発電所の建設が進められています。日本も早急に石炭火力発電の全廃に向けた方向転換を図るべきです。

日本は、2013年以降、国外の石炭火力発電所に対して173億ドルの公的資金を提供しており、この金額は世界第2位です。パリ協定以降に日本の公的金融機関が石炭関連事業に対して拠出した金額は年間4,500億円にも及んでおり、化石燃料への支援は減少していません。

日本が支援する新規石炭火力にはスキャンダルや不当行為も

石炭火力発電所を建設することは、現地の環境を破壊し、地元のコミュニティに対して問題を引き起こし、さらに経済的なリスクを拡大させます。被支援国において日本が資金提供する事業には、以下のような問題があります。

気候変動

国際的に合意されたパリ協定の目標の達成を目指すならば、石炭火力発電所を新設する余地は世界中のどこにもない。世界は、最大のCO2の排出源である石炭をこれ以上受け入れることはできない。

大気汚染の悪化

アジアの一部では、PM2.5による大気汚染の原因として最も増加が著しいのが石炭火力発電所からの排出である。この微細な粒子は人の肺に入り込み、深刻な健康障害や呼吸器疾患、早期死亡をもたらす。

土地の剥奪

地元住民は、土地収用に対する適切な補償を受けていなかったり、時には他に行き場のない状態で家を取り壊されたりしている。

経済的リスク

石炭火力発電の燃料価格は依然ほど安定しておらず、リスクを伴う投資になってきており、政策や規制の強化による収益性の悪化も見込まれる。一方の再生可能エネルギーのコストは年々下がっている。石炭火力発電所を新設すれば、数十年にわたり途上国を高い電力価格にしばりつけてしまう。

極端な気象現象

石炭火力を新設すれば、気候変動をさらに悪化させ、台風や豪雨などの極端な気象現象の頻度と激しさを増すことになる。

暮らしの崩壊

一部の事業は、肥沃な土地の接収や漁業に影響を及ぼす水質汚染により、地元住民の暮らしに悪影響を及ぼしている。

問題の多い影響評価

多くの事業では環境影響評価のプロセスに欠陥がある。つまり、適格性基準を満たさないひどく有害な事業が承認される一方で、企業が利益を得る構造となっている。

どうすればこの動きを止められるか

私たちが力を合わせれば、クリーンな再生可能エネルギーへの移行を後押しすることができます。まずは日本の政治家や企業のリーダーに、石炭火力の新設・稼働継続は、大気汚染対策や気候変動対策と逆行していることを認識してもらわなければなりません。

行動を起こす機会はまだ残されています。

石炭火力発電技術を支援する政策は支持しないという声を上げることも、私たちができることです。そのような政策は国際的には評価されず、ひいては日本の社会・経済・政治に重大なリスクとなるだけです。

世界の多くの国では、既に再生可能エネルギー技術のコストは新規の石炭火力より安くなっています。今こそ、再生可能エネルギーへ投資を振り向ける時なのです。